読み切り← 文章※ちょっと長いお。



なぁ……俺達ってずっとこの関係のままなのかな…?







ザーッ…ー


「しまった……。」


午後から雨が降るのは知っていたが、寝坊してしまい急いで家を出たせいか傘を持ってくるのを忘れてしまった。


これじゃあ濡れて帰るしか無いのか…


「ハァ…これ止まないよなぁ…」


下駄箱でうなだれる俺の後ろでちょうど靴を履き替えたけいが言った。


「何だよ雪、傘忘れたのか?」


そう言ったけいは自分の持っている傘をチラつかせながら話かけてくる。


「チッ…だったら何だよ…」


頬を膨らせながら言う。外はまだ雨が降っている。


「あー。俺にそんな口の聞き方して良いと思ってんのか?せっかく入れてやろうと思ったのに。」


…はぁ?!なにこいつサラッと言ってやがんだ!!俺の顔が少し赤くなったのが自分でも分かった。俺達は男同時だ。たとえ、昔からの幼なじみだとしても中2で男同士の相合い傘は無いだろ……。俺が考え過ぎなのか?


「何言ってんだよお前!てか武はどうしたんだよ!」


焦った俺は話を変える。武はいつも一緒に居る一人だ。


「あぁ、武は先生に呼ばれてたぜ。あいつ堂々と先生の前で寝てな…よだれも垂れてたんだぜ」


けいは笑いながら話してくれる。俺は適当に相づちして、自分の熱を冷ますのに必死になった。


「(あぁ…早く帰りたい…)」


頭を抱えながら思ったらけいがそれに答えたかのように、


「なぁ。雪…早く帰ろうぜ?お前が嫌なら俺1人で帰るけどさ…」


「えっ…」


どうして俺の思った事が分かったかのような事を言うのかと言う驚きと、少しの寂しさでつい本音が口から漏れてしまった。


これを聞き逃さなかったけいはニヤニヤしながらこっちに覗き込んでくる。


「なっ!何見てんだよ!!俺だって早く帰りてぇよ!早く傘させよ!」


「うおっ!何だよ急に…」


落ち着け俺…落ち着け俺…学校から俺とけいの家はあまり遠く無い。よし。行ける。


「おいっ早く行くぞっ」


「うわっ!待てってば」



俺…また顔赤くなってないかな…





男同士の相合い傘。




「お前より俺の方が背高いから傘持ってやるよ…」



初めてこんな気持ちになった。


お前は気付いて無いだろうな…この気持ち。


でも、この関係を壊したく無い…


はぁ……女に生まれて来たかったって初めて思ったよ…